燃油サーチャージとは、燃料価格の高騰に伴って、航空会社が通常の運賃とは別に徴収をする追加料金です。燃料価格に連動するように決まっており、燃料価格が高くなるとサーチャージも高くなり、一定を下回るとサーチャージは徴収されなくなります。
ツアーや航空券によっては旅行代金と別に燃油サーチャージがかかる場合があります。料金確認の際は燃油サーチャージが含まれている/いないをしっかり確認するようにしましょう。
燃油サーチャージの仕組み
まず、燃油サーチャージは燃料価格に応じて各航空会社が基準となる価格表(テーブル)を持っており、そちらで価格に反映させる仕組みになっています。
たとえば、ANA(全日空)やJAL(日本航空)の場合、シンガポールケロシン市況価格(円建て)を指標としており、過去2か月の平均に基づいて燃油サーチャージを決定しています。ケロシンというのはジェット燃料のもとになる石油成分です。
燃油サーチャージの決まり方
相場をもとに決まるのですが、リアルタイムではありません。航空券の発券日ごとに以下のように決まります。
- 発券日:計算期間
- 4月~5月:前年12月~1月の平均
- 6月~7月:2月~3月の平均
- 8月~9月:4月~5月の平均
- 10月~11月:6月~7月の平均
- 12月~1月:8月~9月の平均
- 2月~3月:10月~11月の平均
こういったように発券日と3~4か月前の原油価格で燃油サーチャージが決まってくるわけです。いいかえると、原油価格が上昇してきているなら早めに、下落してきているなら遅めに発券すると燃油サーチャージを節約できることになります。
ケロシン価格と燃油サーチャージのゾーン
燃油サーチャージは前述のケロシン平均価格×為替レートで決定されます。ケロシン価格に応じてゾーンと呼ばれる価格帯ごとにサーチャージの金額が決定されます。以下ではゾーンA~ゾーンIまで紹介しています。なお、実際にはもっと高額な設定まであります。
燃油(ZONE) | 6000円未満 | 7000円未満 ゾーンA |
8000円未満ゾーンB | 9000円未満 ゾーンC |
1万円未満 ゾーンD |
1.1万円未満 ゾーンE |
1.2万円未満 (ゾーンF) |
1.3万円未満 ゾーンG |
1.4万円未満 ゾーンH |
1.5万円未満 ゾーンI |
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日本⇔ 北米・欧州・オセアニア |
適用なし | 3500円 | 7000円 | 10500円 | 14000円 | 17500円 | 21000円 | 25000円 | 33400 | 36800 |
日本⇔ ハワイ・インド・インドネシア |
2000円 | 4000円 | 6000円 | 8500円 | 11000円 | 13500円 | 16000円 | 21300 | 23600 | |
日本⇔ タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア |
1500円 | 3000円 | 4500円 | 6500円 | 8500円 | 10500円 | 13000円 | 17900 | 19600 | |
日本⇔ ベトナム・フィリピン・グアム |
1000円 | 2000円 | 3000円 | 4000円 | 5000円 | 6500円 | 8000円 | 11000 | 12700 | |
日本⇔ 東アジア |
500円 | 1500円 | 2500円 | 3500円 | 4500円 | 5500円 | 7000円 | 9400 | 11000 | |
日本⇔ 韓国 |
200円 | 300円 | 500円 | 1000円 | 1500円 | 2000円 | 2500円 | 3500 | 9200 |
なおゾーンというのはJALの呼称ですが、金額帯はANAも同じです。こんな感じで設定されています。燃油サーチャージ料金は「片道」です。
例えば、燃料価格が11,000円未満のテーブル(ゾーンE)の時、北米路線では片道17,500円の燃油サーチャージが徴収されることになるわけです。結構な金額ですね……・。
ANAやJALの特典航空券だと燃油サーチャージが別途必要
燃油サーチャージは特典航空券を利用する際は「別途」必要になります。
特典航空券で無料航空券をゲットと思っても、たとえば、ハワイまでゾーンEの燃油サーチャージを家族4人分となると、それだけで88,000円も必要になる計算です。意外とバカにならないですね。
国内線の燃油サーチャージはどうなの?
国内線の燃油サーチャージはチケット代と別には徴収されていません。ただ、航空券代に燃油代が含まれており、季節ごとに行われる航空券代の改定のさいに燃油価格の変動分も反映しているものと考えられます。
燃油サーチャージはいつ時点で決まる?
購入時のサーチャージがかかります。なので、ベストな戦略としては燃油サーチャージが安い時期に購入(発券)をしてしまう事です。
燃油サーチャージに先高観がある場合は、早めに予約・発券をしたほうがいいです。一方で燃油サーチャージが下がりそうであるのであれば、発券はできるだけ遅らせた方がいいということになります。
燃油サーチャージの推移
過去の燃油サーチャージの推移を見ていきましょう。
2016年4月~2017年1月までは原油価格の落ち着きにより適用なしの状況でしたが、2017年2月~復活しています。
- 2015年4月~7月:ゾーンI
- 2015年8月~11月:ゾーンG
- 2015年12月~2016年3月:ゾーンE
- 2016年4月~2017年1月:適用なし
- 2017年2月~3月:ゾーンA
- 2017年4月~7月:ゾーンB
- 2017年8月~11月:ゾーンA
- 2017年12月~2018年1月:ゾーンB
- 2018年2月~7月:ゾーンC
- 2018年8月~2019年1月:ゾーンD
- 2019年2月~2019年3月:ゾーンE
- 2019年4月~2019年5月:ゾーンB
- 2019年6月~2019年7月:ゾーンC
- 2019年8月~2019年9月:ゾーンD
- 2019年10月~2020年5月:ゾーンC
- 2020年6月~2021年5月:適用なし
- 2021年6月~2021年9月:ゾーンB
- 2021年10月~2022年1月:ゾーンC
- 2022年2月~2022年5月:ゾーンE
- 2022年6月~:ゾーンI
- 2022年8月~:ゾーンL
- 2022年10月~:ゾーンO
- 2022年12月~ゾーンL
というように、結構な頻度で変動しています。ここのところ上昇傾向にありましたが、2018年11月からの原油価格下落によって2019年4月~5月の燃油サーチャージは3段階ダウンしてゾーンBに大幅下落、6月からは1段階上昇となっています。
コロナショックにより燃料価格が下がり長期にわたり適用なしでしたが、2022年6月~はゾーンIと極めて高い燃油サーチャージが必要になりました。さらに、2022年8月からはゾーンLへとさらに3段階も上昇し、10月からはさらにゾーンOにまで到達しました。
2022年12月~はゾーンLまで少し低下しますので、10月~予約した人は取り直しが良いケースがあるかもしれませんね。
燃油サーチャージが上がりそうな時、下がりそうな時の裏ワザ
燃油サーチャージの金額は変更前の1か月くらい前にはわかります。
たとえば8月~9月分の燃油サーチャージについては6月中旬~下旬くらいにわかるようになっています。
つまり、ある程度事前に将来の燃油サーチャージは予測ができるわけです。それが予測できことを利用して国際線の航空券をお得に購入しましょう。
燃油サーチャージが上がりそうな場合は上がる前に予約する
海外旅行をこれから予約しようという場合はサーチャージが上がる前に予約をしておきましょう。8月~9月の燃油サーチャージが上昇するということが分かっている場合でも、7月末までに航空券を購入すれば上昇前の燃油サーチャージで予約をすることができます。
これは分かりやすいですよね。
予約後に燃油サーチャージが下がった場合は便の変更
事前に国際線航空券を購入をしていたけど、その時点よりも燃油サーチャージが下がった場合についてはどうでしょうか?購入済みの航空券は燃油サーチャージがたとえ下がったとしても差額の調整はされず、割高な料金を支払うことになります。
一方で航空券を変更した場合には燃油サーチャージの差額調整が行われます。そのため、予約時よりも現在の方が燃油サーチャージが安いという場合は便の変更をするなどして予約内容を変更すれば燃油サーチャージの差額が返金されることになります。
予約内容の変更時には変更手数料がかかる場合があります。手数料と減額されるサーチャージの額で判断してください。
ANA、JALの特典航空券(マイルでの予約)の場合、変更手数料は無料となっているので、搭乗便変更による燃油サーチャージの節約裏技は活躍できます。特に、ANAの場合、国際線特典航空券に国内線区間が含まれている場合は国内線区間の変更でも燃油サーチャージは再計算されます。
たとえば、福岡-羽田・成田-ホノルルという区間で予約しているなら福岡-羽田の便を1便早い時間にするだけでOKです。
一方でデルタ航空の特典航空券の変更は有償です。というか、海外エアラインの場合は大多数が有償となります。
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