キャンプなど屋外での食事で欠かせないのが「ご飯」です。バーナーや焚き火を使って外で炊くご飯は格別ですが、「焦がしてしまいそう」「水の量や火加減が難しそう」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

屋外でご飯を炊くための調理器具として、昔ながらの「飯盒(はんごう)」が有名ですが、より手軽で失敗が少ない「ライスクッカー」と呼ばれる調理器具もあります。

この記事では、さまざまな種類がある飯盒・ライスクッカーの選び方から、おすすめの10モデル、失敗しないご飯の炊き方や活用レシピまで詳しく解説します。

飯盒(はんごう)・ライスクッカーとは

飯盒は、英語でメスティン(mess tin)とも呼ばれる、キャンプや登山など野外での調理に使用する携帯用炊飯器・食器です。日本では四角い形状のものをメスティンと呼ぶことが多いですが、実際にはさまざまな形状が存在します。

ライスクッカーは、ご飯を屋外で美味しく炊くためにつくられた専用の調理器具です。水加減の目盛りが付いていたり、吹きこぼれにくい構造になっていたりと、ご家庭のガスコンロやカセットコンロでも手早く(20分以内など)炊飯できるのが特徴です。

飯盒・ライスクッカーの種類

空豆型(兵式飯盒、戦闘飯盒)

自衛隊や他国の軍隊でも使用されてきた形状です。片面がへこんでおり、空豆のような独特の形をしています。この形状によって内部で対流が起こり、火力にムラが出やすい焚き火でも熱が全体にまわり、美味しくお米を炊くことができます。

丸型

角がないため洗いやすく、お手入れがしやすい形状です。均等に熱が伝わりやすいのでムラなくお米が炊けます。深さがある製品が多く、カレーや鍋料理を作るのにも適しています。

角型(メスティン)

お弁当箱のような四角い形状で、炊飯以外にも「煮る・焼く・蒸す・揚げる」など幅広い調理に使える万能さが魅力です。持ち手が折りたためてコンパクトになるため収納しやすく、100円ショップなどでも手に入るため最初の飯盒としても適しています。

ライスクッカー

お米を炊くことに特化しており、水加減の目盛り付きや吹きこぼれにくい構造が特徴です。素材に厚みがあるため焦げ付きにくく、熱も均等に伝わります。一度に3合以上炊けるものが多く、ファミリーやグループキャンプにおすすめです。

飯盒の選び方 6つのポイント

1. 1〜3人なら2合で十分。グループなら2合以上を検討

お茶碗1杯が約0.5合の目安となるため、1〜3人までなら2合サイズで十分にお腹を満たせます。人数が多い場合は2合以上を検討しますが、大きい飯盒で少量のお米を炊くのは難しく、逆に小さい飯盒で多すぎる量を炊くのも失敗の原因になります。必要な量にピッタリのサイズを選ぶことが大切です。

2. 中蓋があると調理が捗る

空豆型の飯盒などには、上蓋だけでなく「中蓋」がついているものがあります。中蓋があることで炊飯中に圧力がかかり、ご飯がふっくらと炊き上がります。また、中蓋自体をフライパンのように使って調理することも可能です。戦闘飯盒2型などのように中蓋にスリット(隙間)があるタイプなら、炊飯の蒸気を利用して中蓋で蒸し料理をするといった二段階調理も行えます。

3. 素材(アルミ、ステンレス、チタン、鉄)のメリット・デメリット

  • アルミニウム:定番の素材。軽くて持ち運びやすく、手頃な価格帯です。熱伝導率が高いため全体にムラなく熱が伝わりますが、蓄熱性が低く冷めやすい点や、変形しやすい点には注意が必要です。
  • ステンレス:耐久性が高く錆びにくいため、しっかり使い込めます。ただし熱伝導率が低めで、熱の伝わり方にムラができやすいため、少し焦げ付きやすい性質があります。
  • チタン:軽量で強度が高く、登山やハイキングで重宝されます。熱を加えるとチタンブルーと呼ばれる青色に変色するのも魅力ですが、熱伝導率が低く炊飯などの調理難易度はやや高めです。
  • 鉄(鋳鉄など):重量があり、圧力をかけられるためふっくら炊き上がります。蓄熱性が高く冷めにくいのが特徴ですが、手入れを怠ると錆びやすいため、メンテナンスの手間を楽しめる方向けです。

4. テフロン加工などがあると焦げつきにくい

表面にフッ素樹脂加工やテフロン加工が施された製品は焦げ付きにくく、初心者でも失敗しにくいのがメリットです。ただし、加工が剥がれる原因となるため「空焚き」は厳禁であり、直火で過度に熱するような激しい使い方は避ける必要があります。

5. 蓋に取手があるとフライパンのように使える

蓋に取っ手がついている飯盒は、蓋を簡易的なフライパンとして使用できます。熱伝導率が高いアルミ素材でも、取っ手があれば熱い蓋に直接触れずに食器として扱えるため非常に便利です。

6. 自宅兼用ならIH・カセットコンロ対応か確認する

屋外だけでなく、ご家庭のキッチンでも使いたい場合は、熱源に対応しているか確認が必要です。カセットコンロやガスコンロは基本的にどの素材でも使用可能ですが、IHヒーターの場合は注意が必要です。

アルミやチタン素材はIH非対応のものがほとんどです。ステンレスや鉄素材であればIH対応の製品もありますが、底の形状やメーカーによって異なるため、購入前に必ず「IH対応」の記載があるか確認しましょう。

新品のメスティンを使う前の準備(バリ取り&シーズニング)

アルミ製のメスティン(角型飯盒)を購入した場合、初めて炊飯する前に「バリ取り」と「シーズニング」を行うことをおすすめします。

バリ取り:製造時に生じたフチの「バリ(切り口のギザギザ)」を紙やすりで滑らかにします。
シーズニング:米のとぎ汁を入れて20分程度煮込みます。

シーズニングを行うことでアルミの表面に皮膜ができ、特有の金属臭を防ぎつつ焦げ付きにくくなります。この工程を省くと初回から焦げ付くケースが多いため、初心者の方は忘れずに行いましょう。

飯盒・ライスクッカーのおすすめ

エバニュー 山岳飯盒弐型(2合)

素材:アルミニウム / サイズ:16.8×8cm / 重さ:370g / 中蓋:あり
人気の「戦闘飯盒2型」をベースにした山岳仕様モデル。パッキングしやすいよう計算された長さのハンドルを採用し、アルマイト加工により傷やサビに強く耐久性に優れています。

ロゴス 23式ハンゴウ(2合)

素材:アルミニウム / サイズ:12×20×11cm / 重さ:380g / 中蓋:あり
自衛隊規格の金型で製造した本格派。吊り下げたまま蓋の開閉ができ、コンパクトに収まる独自のつる(持ち手)を採用。メイプルリーフの刻印が施された真鍮金具がデザインのアクセントになっています。

ゼブラン ライスオーブン(2合)

素材:鋳鉄 / サイズ:19.9×16.5×16.2cm / 重さ:3.1kg / 中蓋:なし
細かな火加減の調整が不要で、誰でも美味しく炊ける鉄鋳物製のライスオーブン。蓄熱性に優れムラが発生しにくく、蓋についたホイッスルが鳴って炊き上がりを知らせてくれます。

d+ マーブルコートメスティン Lサイズ 6点セット(3合)

素材:アルミニウム(マーブルコート加工) / サイズ:19.4×13.4×8.3cm / 中蓋:なし
メスティン初のマーブルコート加工により非常に焦げ付きにくくなっています。厚さ1.5mmの極厚アルミで熱が伝わりやすく、吸盤式取っ手、しゃもじ、蒸し網などがセットになっているオールインワンモデルです。

コールマン アルミライスクッカー(3合)

素材:アルミニウム(ノンスティック加工) / サイズ:19×19×18cm / 重さ:920g / 中蓋:あり
厚さ2.5mmのアルミ製本体と二重蓋構造により、美味しさを逃さずふっくら炊き上げます。ノンスティック加工で焦げ付きにくく、米とぎ用のザルとメジャーカップが付属します。

キャプテンスタッグ 林間 丸型ハンゴー(4合炊き)

素材:アルミニウム / サイズ:15.5×15.5×13.5cm / 重さ:360g / 中蓋:あり
ファミリーやグループに適した4合炊きサイズ。中蓋すり切り1杯でお米2合を計ることができ、本体内側には2合と4合の水量線が付いています。ミリタリー感のあるダークグリーンカラーです。価格も1000円台と手頃で、昔ながらのキャンプらしさを味わえます。

キャプテンスタッグ 3層鋼 段付ライスクッカー(5合)

素材:ステンレス / サイズ:17.5×14cm / 重さ:810g / 中蓋:なし
熱伝導率に優れる軟鉄を、耐久性に優れたステンレスで挟み込んだ3層鋼を採用。内側には水量を量る目盛りが付き、つまみ部分には熱くなりにくい天然木が使われています。

ユニフレーム fanライスクッカーDX(5合)

素材:アルミニウム(フッ素加工) / サイズ:21×21×11.5cm / 重さ:770g / 中蓋:なし
価格は5000円弱となりますが、大きな立ち上がりを持ったフチが吹きこぼれを防ぎ、適度な圧力がかかる重みのある蓋など、初心者でも失敗ゼロでふっくらご飯が炊ける工夫が満載です。時短(20分以内)で炊飯でき、一回り小さい3合炊きの「ミニDX(16.5×16.5×9.3cm / 415g)」もラインナップされています。

お得にキャンプ用品を買うコツ

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飯盒で失敗しないご飯の炊き方

難しいと思われがちですが、手順を守れば簡単です。

1. 水の量は「米1合:水200ml」が目安

まずは米を研ぎます。計量カップがない場合は、米を平らにした状態で指先を表面に当て、第一関節くらいまで水がくるように調整します。出発前に自宅で米を研いで袋やボトルに入れて持参すると、現地での手間が省け、移動中に浸水も兼ねられるためおすすめです。

2. 浸水時間は夏30〜60分、冬60分以上

芯のないふっくらとしたご飯にするため、しっかり水を吸わせます。暑い時期に常温で長時間放置すると雑菌が繁殖する可能性があるため、クーラーボックスの中などで浸水させましょう。ふやけすぎを防ぐため、1日以上の浸水は避けてください。

3. 沸騰するまで強火、その後は弱火で10〜15分

火加減がポイントです。最初は強火(飯盒の側面まで火が届く状態)にかけます。約5分ほどで沸騰しますが、吹きこぼれによる蓋の浮き上がりを防ぐため、蓋の上に重石をのせておきましょう。
沸騰したら弱火(飯盒の底に火が届かない状態)にし、10〜15分ほど火にかけます。水蒸気が減り、ご飯の炊けた香ばしい匂いがしてきたら炊き上がりの合図です。

4. 火からおろして10分ほど蒸らす

炊き上がったら火からおろし、10分ほど蒸らします。この時、飯盒を逆さまにしておくとご飯が底にこびりつきにくくなります。「赤子泣いても蓋取るな」の言葉通り、火にかけてから蒸らし終わるまでは圧力を逃さないよう絶対に蓋を開けないでください。

【番外編】ほったらかし炊飯や水蒸気炊飯のテクニック

固形燃料を使った「ほったらかし炊飯」

メスティン(角型飯盒)ならではの人気テクニックで、固形燃料に火をつけ、自然に燃え尽きるまで放置するだけで炊飯が完了します。火加減の調整が不要なため、初心者にもおすすめです。

固形燃料の量やブランド、風などの環境によって燃焼時間が異なります。「約25gの固形燃料1個」を目安とし、本番のキャンプへ行く前にご自宅の庭などで試し炊きをしておくことをおすすめします。

中蓋を利用した「水蒸気炊飯」

中蓋がある飯盒の場合、本体の下部に水(半分ほど)を張り、中蓋に研いだ米と分量の水を入れて炊飯する「水蒸気炊飯」が可能です。
直接火が当たらないため焦げる心配がなく、細かい火加減の調整も不要です。沸騰してから約20分火にかけ、5分蒸らすだけで完成します。下部の沸騰したお湯を利用して、レトルト食品の湯煎や簡単なスープ作りを同時に行うこともできます(容量は中蓋分に限られるため少人数向けです)。

炊飯だけじゃない!飯盒を使ったレシピ

好みの具材で楽しめる「炊き込みご飯」

旬の具材を入れて炊くだけの簡単レシピです。味付けをめんつゆ(3倍濃縮で1合につき大さじ2杯目安)にするだけで味が決まります。めんつゆには塩分がありお米が水を吸いにくくなるため、浸水が終わって炊く直前に入れるのがポイントです。調味料の水分を考慮し、水は1合につき15mlほど減らして調整してください。

横向きで「ピザ」を焼く

飯盒を縦ではなく横に寝かせ、底に網やアルミホイルを敷くことで簡易オーブンのように使えます。上下からの加熱が必要なため、焚き火などで上部にも薪や炭を置ける環境での調理に向いています。

深型鍋として「カレー」などを煮込む

深さを活かしてカレーやシチューをコトコト煮込むことも可能です。中蓋で水蒸気炊飯を同時に行えば、飯盒一つでカレーライスが完成します。お米の炊飯時間に合わせるため、具材は小さめに切って火を通りやすくし、カレールーは焦げ付きを防ぐためお米が炊き上がった後に溶かし入れるようにしてください。

飯盒のよくある質問・疑問

Q. 焦げてしまった場合はどうやって洗えばいい?

A. 飯盒が焦げ付いてしまった場合、無理にこすり落とすのは禁物です。まずは飯盒に水を入れて沸騰させ、焦げをふやかして落としやすくしましょう。

アルミ素材の場合、焦げ落としに重曹(アルカリ性)を使うと黒ずみ(変色)が生じてしまうため、「酢水」を入れて煮立てる方法が安全です。ステンレスや鉄素材であれば、重曹を使って煮立たせても問題ありません。

Q. 飯盒の中にスタッキング(収納)できる便利アイテムはある?

A. まな板やカトラリーを入れるのが定番ですが、メスティンの形状にぴったり収まる専用サイズのケトル(例:バンドック アルミケトル 容量350ml 等)なども販売されています。サイズによってフィットしない場合もあるため、事前に寸法をよく確認しましょう。

Q. 「飯盒炊爨(はんごうすいさん)」と「飯盒炊飯(はんごうすいはん)」は何が違う?

A. 現代ではどちらも「飯盒を使ってご飯を炊く」という同じ意味で使われることがほとんどです。ただし厳密には、「炊爨(すいさん)」はご飯を炊くことだけでなく、おかずなどの副食物の調理も含む広義の言葉です。
もともとは野外での調理全般を指して飯盒炊爨という言葉が使われていましたが、「ご飯を炊く=炊飯」というイメージが定着したため、近年では飯盒炊飯と呼ばれることが多くなりました。

まとめ

昔ながらのキャンプの雰囲気を味わい、直火の不便さや工夫を楽しむなら「飯盒」がぴったりです。一方で、失敗を確実に防ぎ、手早く美味しいご飯を食べたい方には「ライスクッカー」が強力な味方になります。

それぞれのメリットや、参加する人数、どんなキャンプスタイルを目指すかに合わせて、最適な調理器具を選んでみてください。

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