日本船籍の豪華客船として知られる「飛鳥2(Ⅱ)」の後継船の話が浮上しています。2020年を目途に投入を予定しておりその名も「飛鳥3(Ⅲ)」となるようです。日本を代表する豪華客船を刷新することで日本市場に入ってきている外国船籍のクルーズ船との競争力確保を目指す考えのようです。
日本の豪華客船としての意地を見せてほしいと思うところですが、現実的には厳しい面もあるみたいです。
(追記)2020年投入計画でしたが、10年先送りとなりました。表題の写真は飛鳥Ⅱ
三菱重工は客船建造をするのか?
飛鳥Ⅲの計画において難しいのがどこに頼むのか?という話。飛鳥、飛鳥Ⅱはいずれも三菱重工長崎造船所での建造でしたが、同社は2016年に客船事業で2370億円もの赤字を計上しており客船建造を継続するかどうかの方針が固まっていません。
結局三菱重工が客船を作らないという判断になった場合は中古船を購入して改修するという案もあるようですが、このあたりは不透明ですね。
そもそも日本のクルーズ旅行は順調なのか?
日本へのクルーズ船の寄港が増えているというニュースはインバウンド需要・訪日外国人などのニュースとともに伝わることが多いので、クルーズ旅行自体が人気というイメージがあるかもしれません。
ただ、実際のところ、日本人のクルーズ旅行自体はさほど増えていません。
国土交通省「2015年のクルーズ事情」
我が国へクルーズ船により入国した外国人旅客数は、前年比2.7倍の約111.6万人(概数)となりました。また、外国船社が運航するクルーズ船の我が国港湾への寄港回数は965回、日本船社も含めると1,452回となり、いずれも過去最高
2015年の我が国のクルーズ人口は、外国船社の配船数の減少に伴う日本発着外航クルーズ数の減少や日本船社の海外長期クルーズ数の増加に伴う合計クルーズ数の減少等に より、前年より1.0万人減少し22.1万人(4.5%減)
日本にクルーズ船で旅行しにくる外国人はいるけど、日本人はクルーズ船には乗らないというわけですね。
国内クルーズ、海外クルーズともに国内の需要はむしろ尻すぼみ的な傾向にあるようです。外航クルーズは前年に比べ、乗客数は0.4万人減少し13.4万人(3.0%減)、国内クルーズは前年に比べ、乗客数は0.7万人減少し8.7万人(6.8%減)となっていrます。
飛鳥Ⅲはもしかしたら外国船籍になるかも……
日本船籍の船は「国内クルーズができる」というのが大きな魅力です。
その一方で日本船籍となることで厳しいとされる国内法の規制を受けることになります。
そのため、もしかしたら飛鳥3は外国船籍になる可能性も指摘されているようです。
日本ではクルーズ旅行というと高額でお金持ちのための旅行、リタイアメント世代のための旅行という印象が強いです。一方で世界的にみればクルーズ旅行は必ずしも高額ではありません。
飛鳥Ⅲの導入が検討される中で、クルーズ旅行をより手軽にすることができるように規制緩和等を含めた話が進むとよいですね。
飛鳥Ⅲの投入は10年先送りへ
郵船の内藤忠顕社長は日本経済新聞の取材に対し「20年までの新造船投入は難しい」と述べ、先送りする方針を明らかにした。飛鳥2は30年ころまで運航が可能だといい、内藤社長は「20年代半ばくらいに次を考えたい。(現行船を30年まで使うのが)現段階では有力だ」と話した。
ということで、先送りが濃厚となりました、とすると2030年投入ということになるのでしょうか。
外国船籍のクルーズ船がかなり頑張っている現状を見ると、「飛鳥」というブランドだけでどこまで戦えるのかは微妙な所じゃないでしょうか。
いくらブランドがあっても、正直老朽船だときっついのではないでしょうか。実際のところ世界一周旅行をするといったケースでも、飛鳥2よりも外国船の方が安いわけで、船の設備もそっちの方が良いとなると、競争力を維持できるとはなかなか思えませんよね。
以上、日本の豪華客船、飛鳥2の後継船「飛鳥3」、2020年度に投入計画→2030年に先送りというお話でした。
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