海外旅行や出張に欠かせないパスポート(旅券)の発行手数料が、2026年7月1日から大幅に引き下げられる見通しとなりました。

2026年4月24日に改正旅券法が成立し、これまで1万6,000円近くかかっていた10年有効パスポートの手数料が、1万円を切る価格まで改定されます。円安や物価高が続く中、海外渡航を検討している方にとっては非常に大きな負担軽減となります。

今回は、具体的な値下げ額や改定の背景、そして申請時に注意すべきポイントやオンライン申請の手順について詳しく解説します。

パスポート発行手数料の改定案まとめ

今回の改定では、18歳以上が取得する10年有効パスポートや、12歳以上18歳未満の5年有効パスポートの値下げ幅が大きく設定されています。また、オンラインでの「電子申請」を優遇する価格設定となっているのが特徴です。

10年有効パスポート(18歳以上)

最も利用者が多い10年用パスポートは、現行から7,000円の減額となります。

  • 電子申請:現行 15,900円 → 改定後 8,900円
  • 窓口申請:現行 16,300円 → 改定後 9,300円

5年有効パスポート(18歳未満)

18歳未満向けの5年用パスポートも値下げされますが、年齢によって値下げ幅が異なります。12歳以上は6,500円の減額となり子育て世代の負担が大きく軽減される一方、12歳未満は1,500円の減額となります。

  • 12歳以上18歳未満(電子申請):現行 10,900円 → 改定後 4,400円(6,500円減額)
  • 12歳以上18歳未満(窓口申請):現行 11,300円 → 改定後 4,800円(6,500円減額)
  • 12歳未満(電子申請):現行 5,900円 → 改定後 4,400円(1,500円減額)
  • 12歳未満(窓口申請):現行 6,300円 → 改定後 4,800円(1,500円減額)

18歳以上の5年有効パスポートは廃止

これまで18歳以上でも「5年」か「10年」を選択できましたが、改定後は18歳以上の5年用パスポートは廃止され、10年用に一本化される予定です。
なお、現行の18歳以上の5年用パスポート手数料は、電子申請10,900円・窓口申請11,300円です。

なぜ今、パスポート手数料が下がるのか

政府がこれほど大幅な手数料引き下げに踏み切った背景には、いくつかの要因があります。

手数料値下げの主な背景
  1. パスポート保有率の低迷
    日本のパスポート保有率は約17%から19%程度と、諸外国(米国5割、英国・台湾6割、韓国4割など)と比較して低い水準にあります。コロナ禍を経て申請数が戻りきっていないこともあり、取得を後押しする狙いがあります。
  2. 行政のデジタル化によるコスト削減
    マイナンバーカードを活用したオンライン申請(電子申請)の普及により、窓口業務の事務負担が軽減されました。このデジタル化によって削減されたコストを利用者に還元する形をとっています。
  3. 国際観光旅客税(出国税)の値上げによる補填
    パスポート手数料を下げる一方で、日本から出国する際に課される「国際観光旅客税(出国税)」が、現在の1,000円から3,000円へと引き上げられる予定です。この増収分を、これまで旅券手数料で賄っていた邦人保護経費やオーバーツーリズム対策に充てることで、手数料の値下げを実現しています。

2026年7月の申請に関する重要な注意点

手数料が安くなるのは嬉しいニュースですが、改定直後の申請にはリスクや知っておくべきルールがあります。外務省も注意を呼びかけているポイントを確認しておきましょう。

交付までに「約1か月」かかる可能性

手数料が改定される7月1日以降、申請が大幅に増加することが予想されます。通常の交付期間は約2週間ですが、混雑状況によっては「約1か月」を要すると想定しておく必要があります。

7月に海外渡航を予定している方は、値下げを待って7月1日に申請すると出発に間に合わない恐れがあります。余裕を持って6月中に申請・受領しておくことをおすすめします。

また、海外にお住まいで在外公館で申請を受理する場合は、日本から旅券の配送を伴うため、日本国内での申請よりさらに追加で2週間程度かかる点にも注意が必要です。

新旧手数料の適用タイミングと「誕生日前日ルール」

新しい手数料が適用されるのは、日本時間の2026年7月1日午前0時以降の「申請分」からです。
6月下旬に申請し、受取が7月になったとしても、適用されるのは「申請時の旧料金(高い方の料金)」となります。

【重要】年齢計算の「誕生日前日ルール」

法律上、年齢は誕生日の「前日」に加算されます。そのため、7月1日前後に年齢の区分が変わるお子様がいる場合は申請のタイミングに注意が必要です。
例:2008年7月1日生まれの方は、誕生日前日の2026年6月30日申請分から「18歳以上」として扱われます。

手数料の支払いタイミング(受領時納付)

パスポートの手数料は、申請時ではなくパスポート受け取り時に支払います。オンライン申請の場合はクレジットカード決済等を選択できるケースが増えていますが、窓口申請の場合は収入印紙と都道府県収入証紙を現金で購入して支払う必要がある自治体も多いです。

オンライン申請(電子申請)の手順

最も安くパスポートを取得するには、マイナポータルを利用したオンライン申請(電子申請)が必要です。

  1. マイナンバーカードを準備する
  2. スマートフォンにマイナポータルアプリをダウンロードする
  3. アプリでログインし、「パスポートの取得(新規申請)」を選択
  4. 受取窓口を選択し、顔写真と署名(サイン)の画像を登録
  5. 申請情報を入力し、マイナンバーカードを読み取って送信
  6. 交付通知が届いたら、指定した窓口にパスポートを受け取りに行き、手数料を納付する

戸籍謄本の提出に関する注意

2025年3月23日の申請受理分より、戸籍情報のオンライン取得が可能になったため、電子申請の場合は基本的に戸籍謄本の原本提出が不要となっています(※状況により必要な場合もあります)。

ただし、窓口(書面)申請の場合は、引き続き戸籍謄本の提出が必要ですのでご注意ください。

電子申請の「補正」リスク

顔写真の不備や入力間違いなど、電子申請で補正(修正)が必要となった場合、申請者による対応が完了するまで審査は中断されます。余裕を持ったスケジュールで申請を行うことが大切です。

まとめ:値下げのタイミングを見極めて計画的な発行を

パスポート手数料の値下げは、2026年7月1日申請分から適用予定です。10年用なら7,000円も安くなるため、急ぎの予定がない方は7月以降の申請がお得です。

ただし、夏の休暇に向けて7月以降は窓口や審査が極端に混雑し、発行に時間がかかることが確実視されています。渡航スケジュールと照らし合わせ、料金を優先するか、確実な発行を優先するか、慎重に判断しましょう。

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